ダンス部の顧問になって、気が付いたら一条にしかないダンスを求め始めていた。

ダンスを知らない男がなぜそんなことを考えたのか、それはわからない。

ただダンスをするなら、みんなで作品を作るなら、そうしてほしいと思った。

いちばん最初のバスケの大会作品の時から、一条らしさを追求してもらいたいと何度も言っていたような気がする。

一条らしさを考えろ、と。

俺がそう言って、当時のチームリーダーが考え込んでいたシーンをいまでもはっきりと憶えている。

それはダンス部に限定されたものではなく、一条高校に脈々と流れる精神と繋がるものでもある。

開拓者精神と。

そして一条ダンス部にもそのような文化が育まれ、今に至る。

これまでの先輩たちの培ってきたものがどこか作品にあらわれている。

今回の大会で、すべてのチームを見ながらそんなことを考えた。そんなこと考え続けていた。