学校という空間は特殊な場所であり、どのような複雑で高度に発達した制度下におけるそれであれ、素朴でシンプルに留め置かれた制度下にあるそれであれ、総じて、学校という空間はある種特別なところである。

文化人類学的に言っても、どのような共同体であれ、その社会の存続のために、共同体はその集合体の未来永劫の安寧のために、次なる世代の教育につとめることは至極当然のことであり、そしてそのような種類の場を仮にすべて学校と呼ぶならば、そこに教育のエートスというものが存在することになる。

われわれの日々をくらすこの空間にも、エートスなるものが生まれている。

エートスとは古代ギリシャの哲学者アリストテレスの言葉で、日本語では習性的徳と言われている。良いと思うことがらを、同じことを繰り返すことによって身につく心の習慣のことである。

たとえば、ひとつの部活などにも知らず知らずのうちにエートスが形成され、受け継がれていく。学校でいえば、校風とかスクールカラーであり、会社にも社風というものがある。

人間が集団を形成し、その集団のうちに個人として生き延びる習性をもち続けるのであれば、教育的エートスはこれまでもこれからもその集団にのみ育まれる大切なものを内包している。

そしてその場でよきことを維持しようと考えるならば、そのエートスについて自覚的に行動することが求められる時がある。

何を頼りに、どのような風を受けて進むのかを考えねばならない。それがまた私たちの新しいエートスを構築する。