写真はほとんど残されていない。おそらくこの一枚だけだ。近畿地区でフェザー級新人王を獲得した時のものであろう。決勝は2ラウンド、RSC(レフリーストップ)で勝ったと記憶している。とにかく勝つことだけしか考えていなかった。いや、どう勝つか、だけを考えていた。試合のある朝、母親はいつも 早めにタオルを投げてもらうように先輩に頼んでおきなさい、と言っていた。幸いそんなことには一度もならずに済んだ。ボクシングを始めたことも、母親には内緒にしていたが、もちろんばれてしまっていた。30年以上も前の話である。

鏡の前で、ひたすら練習する。自分の姿を鏡に映す。ひたすらステップを踏み続ける。自分の身体だけを使う。スピードとパワー。スタミナとテクニック。そして闘う強い気持ち。ボクサーとダンサーは似ているのではないかといつも思う。

そして孤独である。それも似ている。のかな。

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Stand  and  Fight     踏みとどまって闘え