一年ほど前から、美容室的なところに行っている。なんやろか、散髪屋とか床屋とかBARBERではないところ。概念的に言うといわゆる理容ではないところやな。

顔剃りとかはありません。

F氏が担当、というような世界で。最初にF氏からどんな感じでという相談があり、まあお任せな感じとなる。

最初に洗髪があるんやな。のけ反って仰向けで洗う。ここも理容とは明確に違うな。そしてカッティング。

その間、ファッション雑誌を読む。なんだかそんな雰囲気ではある。他人事として、どこか遠い世界として眺めていた風景の中に自分がいる。

ただ技術革新はめざましく日進月歩。今日からはタブレットを渡される。ひらひらひらと400種類の雑誌がタブレットで読めるという。

その雑誌の中、歴史は一本道ではない、というコラムに目が留まる。今、ここに到達した歴史以外にここに到達したかもしれない別の歴史が存在する。少し流れが変われば違う世界があったかもしれない。

複合的な要因が積み重なって、我々はここにいるが、そうでなかった場合の現実に想像力を馳せてみる。

1920年代から1930年代、日本は戦争を回避する方途はなかったのか。満州事変を起こさない選択肢はなかったのか。

米国との開戦ははたして不可避だったのか。

ギリギリまで戦争ではない現実を求めてネゴシエイトした男たちの気持ちになって考える。

そして、軽くムースをして、髪型を整え、いちれんの作業は終わるのである。