あの頃 僕はまだ18で  望めばすべてが叶うと 信じてた。
どうして僕を待ってくれなかったの  こうして今 迎えに来たのに。

いつか いつか もうすぐ

だれでも18の時があったように、この俺にも当然あった。

高校生の頃、初めてライブに行ったのが浜田省吾。

その最初のライブ。大阪フェスティバルホール、友達と行ったそのライブで覚えていること。

会場の入り口で女の子が誰かを待っていた。

とても可愛い女の子であった。俺たちふたりの男子高校生はその女の子を見てあまりに可愛いのでそのことを話題にした。白いコートがとても似合っている子だった。

アホ丸出しの高校生の頃である。

缶コーヒーを買うために会場の入り口を再び通るとその女の子はまだ誰かを待っていた。その待ちようが、あまりに不安げで寂しそうで、こちらまで心配になるほどだった。

この娘をこんなに待たせるなんて、どういうことなんや、と思ったりした。おそらく彼氏なんかなと。

そしてコンサートがはじまった。

偶然すぎるほど、その女の子の席はわれわれのとなりであった。そして待ち合わせの彼氏は結局来なかった。

コンサートの途中で、その女の子はひとり泣いていた。

俺たちには当然何もできない。声をかけることなんてできないし、ましてなぐさめることなんかも出来ない。

ライブの途中でその女の子は帰っていった。

40年近くまえの話しである。

その女の子もどこかで俺たちと同じように年を重ねているのだと思う。

人生は。

人生は、そんな風にして過ぎてゆく。