ダンスクという雑誌が送られてきた。ダンス部を応援するというボリューム感のあまりないフリーペーパーである。

軽い気持ちでページをめくって、なんとなく記事を読む。まだ創刊して第2号。この雑誌の冒頭に文章を書いている石原久佳という人物がなかなか興味深い。この人物、元ダンサーなのかな、現在もそうなのか、正直なところ素性はよく知らないのであるが、かなりの筆力を有する人物であり、高校ダンス部の内情についても造詣が深い。よく理解し、そしてよく表現している。

何より、覚悟と使命感を持って文章を書いているところがいい。

高校ダンス部という、独自のスタンスで繰り広げられるダンスの世界に魅力と可能性を感じ取っていることがはっきりと伝わってくる。

ダンス部が自主性を大事にし、「自分たちで創る」ことは取り組み方にしてもダンスそのものにとってもよい方向性だといえる言える。結果を追い求めることはモチベーションになるだろうが、ダンス部にとってのダンスの本質は、クオリティではなく「過程」にこそある。下手でもいい、間違っていてもいい、平均的でなくてもいい。自分たちで創ることで、責任感が生まれ、仲間とぶつかり、尊敬しあい、「協調」が生まれる。やりたいことを発見し、フォーカスし、具体化することで「創造」が生まれる。

まさしく同感であり、学校現場でこのような部活動を実現できるのは、ダンス部を置いて他に存在しにくいこともまた事実である。それは好むと好まざるとにかかわらず、高校ダンス部という立ち位置の必然的成り行きとも言える。またそれはダンスというものがもつ本質的な性質に由来している。教育現場で当初、拒否反応が強かったストリート系のダンス部がその存在理由を明確にし、周囲から承認されるような活動になり、今後も発展していく可能性をもっていると認識されるならば、学校という現場から一歩引いたところで支えようとするこのような言説は大いなる力となる。

高校ダンス部の深淵をよくとらえている。そして実は日本の若者の未来につながる深淵を。

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