この国の行く末を案じながら日々を過ごしている。

という訳ではない。

校舎の

4階のベランダから大声で俺の名前を呼ぶ生徒、笑顔で手を振っている。

首を捻じ曲げるようにして彼女とその空を見上げる。

そんな日常を繰り返すことが出来るように、

そういうことが大切になるんやろなと

少しだけではあるがこの国の行く末を思いながら

倫理の授業に歩を進める。

人間とは何かを問い続けた思想家たち

愛を原動力にして真理を直観せよと説く。

ヨーロッパが近代に向かおうとするそんな時代を生きる倫理観を、極東の島国で

初秋のゆるやかな午後に教えている。