校内放送で生徒を呼び出すのが得意でない。正直苦手である。何か少し気が引けるし、放送してから待っている時間もやや落ち着かない。

もちろん呼び出す圧倒的で正当な理由が在るときは、堂々と呼び出す必要があるがそうでない場合がほとんどである。

だから用事があるときはこちらから生徒のほうへ出かけていく。そのほうが気分がいいからだ。第一手っ取り早い。

今日は1年生ダンス部員に用事があった。はやく済ませたい。なので一時間目が始まる前に出かけた。ただ、出かけるのは本館に限る。新館は職員室から遠く離れているし、わざわざ出かけていくことには少々違和感が生じるのでやめている。

本館は職員室を出て、階段をヒョイと上がるだけだ。特に2年9組は近い。ダンス部でカジュアルな連絡が必要な時は2の9の誰かをつかまえて、連絡を伝えることになる。

まあそんな風にして毎日校内を得意げに闊歩しているわけでもない。時々そんなことがあるということ。

1年生の教室は本館3階なので、授業に行くこともないし、滅多に行かない。帰りの階段で2年生ダンス部員に出会った。校内であろうともそのような時間帯にそのような場所でそのような方向から顧問が現れることはまずないので、我々は互いに「おやおやこんなところでお会いしましたな」的雰囲気に一瞬包まれ、やがて互いに何となく奇妙に笑った。

カリンとバナナやったかな。